社会保険料の計算はどうやる?初心者向けにわかりやすく仕組みを解説

目次

はじめに

社会保険料は、給与明細を見ると必ず記載されている項目の一つですが、具体的にどのように計算されているかを理解している人は少ないかもしれません。社会保険料は、健康保険や厚生年金保険など、私たちの生活を支える重要な役割を果たしています。しかし、その計算方法や仕組みを理解することは難しそうに感じることもあります。

この記事では、初心者向けに社会保険料の計算方法を詳しく解説します。さらに、給与や賞与の計算例を交えながら、社会保険料がどのように算出されるのかを分かりやすく説明します。


1. 社会保険料とは?

社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険、介護保険、雇用保険など、社会保険制度に基づいて支払う保険料の総称です。この保険料は、会社と労働者が分担して支払う仕組みになっています。

a. 主な社会保険の種類

  1. 健康保険:病気やけがをした際の医療費をカバーする保険。
  2. 厚生年金保険:老後や障害が発生した場合に年金を支給する保険。
  3. 介護保険:40歳以上の人が加入する、介護サービスのための保険。
  4. 雇用保険:失業時の生活を支えるための保険。
  5. 労災保険:仕事中や通勤中の事故に備える保険(全額事業主負担)。

2. 社会保険料の計算の仕組み

社会保険料は、給与や賞与の金額をもとに計算されます。計算に使われる基本的な考え方を理解することが、社会保険料を正しく把握する第一歩です。

a. 算出基準となる「標準報酬月額」

  • 標準報酬月額とは: 社会保険料の計算基準となる金額で、毎月の給与(基本給+手当など)を一定の幅で区切った金額です。具体的な額は各都道府県や健康保険組合によって異なります。

標準報酬月額の決定方法

  1. 毎年4月から6月の給与の平均をもとに決定。
  2. この期間の給与が「報酬月額」となり、標準報酬月額表に当てはめて計算。

b. 社会保険料率

社会保険料の計算には、各保険ごとの保険料率が使用されます。保険料率は、地域や保険の種類によって異なります。

  • 健康保険料率:都道府県ごとに異なる(例:東京都の場合、約9.8%程度)。
  • 厚生年金保険料率:全国一律で18.3%(労働者と事業主が折半)。
  • 介護保険料率:全国一律で1.8%程度(40歳以上のみ対象)。
  • 雇用保険料率:労働者負担は約0.6%。

3. 社会保険料の計算方法

社会保険料の計算は、以下の手順で行われます。

a. 健康保険料の計算

計算式

健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率 ÷ 2

例:月収30万円の場合(東京都、健康保険料率9.8%)

  1. 標準報酬月額が30万円。
  2. 健康保険料率9.8%を適用。
  3. 計算:markdownコードをコピーする健康保険料 = 300,000 × 9.8% ÷ 2 = 14,700円 → 健康保険料は14,700円。

b. 厚生年金保険料の計算

計算式

厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 ÷ 2

例:月収30万円の場合

  1. 標準報酬月額が30万円。
  2. 厚生年金保険料率18.3%を適用。
  3. 計算:markdownコードをコピーする厚生年金保険料 = 300,000 × 18.3% ÷ 2 = 27,450円 → 厚生年金保険料は27,450円。

c. 介護保険料の計算(40歳以上の場合)

計算式

介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率 ÷ 2

例:月収30万円の場合(40歳以上)

  1. 標準報酬月額が30万円。
  2. 介護保険料率1.8%を適用。
  3. 計算:markdownコードをコピーする介護保険料 = 300,000 × 1.8% ÷ 2 = 2,700円 → 介護保険料は2,700円。

d. 雇用保険料の計算

計算式

雇用保険料 = 賃金総額 × 雇用保険料率

例:月収30万円の場合(労働者負担0.6%)

  1. 賃金総額が30万円。
  2. 雇用保険料率0.6%を適用。
  3. 計算:markdownコードをコピーする雇用保険料 = 300,000 × 0.6% = 1,800円 → 雇用保険料は1,800円。

4. 賞与にかかる社会保険料

賞与にも社会保険料がかかります。ただし、賞与には標準報酬月額ではなく「標準賞与額」が使用されます。

a. 標準賞与額とは?

賞与の総額をそのまま計算基準とし、保険料率を掛け合わせて計算。

賞与における計算式

賞与社会保険料 = 標準賞与額 × 各保険の料率 ÷ 2

例:賞与100万円の場合(東京都)

  1. 健康保険料:markdownコードをコピーする健康保険料 = 1,000,000 × 9.8% ÷ 2 = 49,000円
  2. 厚生年金保険料:markdownコードをコピーする厚生年金保険料 = 1,000,000 × 18.3% ÷ 2 = 91,500円

5. 社会保険料を軽減する方法

社会保険料を軽減する方法として、次のような選択肢があります。

a. 扶養控除を活用

家族を扶養に入れることで、一定の条件下で社会保険料の負担を軽減できます。

b. 節税制度を活用

iDeCo(個人型確定拠出年金)など、節税効果のある制度を活用することで、所得控除を受けられます。


6. 社会保険料の早見表

全国健康保険協会から都道府県別の早見表を見るとご自身の月額給与から社会保険料が分ります。

  1. 全国健康保険協会(協会けんぽ)

7. 社会保険料の支払いの仕組み

a. 会社と従業員の負担割合

社会保険料は、従業員と会社がそれぞれの負担分を支払う仕組みです。この負担割合は以下のようになっています。

  1. 健康保険:労働者と事業主が折半(通常、労働者が約半分を負担)。
  2. 厚生年金保険:労働者と事業主が折半(18.3%をそれぞれ9.15%負担)。
  3. 介護保険:40歳以上の労働者が対象。健康保険料と同様、折半。
  4. 雇用保険:労働者負担は0.6%程度、事業主負担はさらに高く設定。

b. 支払いの流れ

  1. 毎月の給与から社会保険料が控除されます。
  2. 会社は、労働者負担分と会社負担分をまとめて支払いを行います。
  3. 支払先は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や厚生年金基金など、各保険ごとの運営団体です。

8. 社会保険料に関連するよくある疑問

Q1. 社会保険料はどのように確認できる?

A1. 毎月の給与明細や賞与明細に控除額として記載されています。また、年末調整や確定申告の際にも、支払った社会保険料の総額が記載された資料を受け取ることができます。

Q2. 年収が変動した場合、社会保険料も変わるの?

A2. はい、社会保険料は年収に基づいて計算されるため、給与が増えると保険料も増えます。逆に、収入が減少すれば保険料も減る場合があります。

Q3. 退職後の社会保険料はどうなるの?

A3. 退職後は、以下の選択肢があります。

  • 任意継続被保険者制度:退職後も最大2年間、健康保険に加入できる制度。ただし、全額自己負担。
  • 国民健康保険への加入:退職後は市区町村が運営する国民健康保険に切り替えることが一般的。
  • 厚生年金の終了:退職後は厚生年金への加入が終了し、国民年金に切り替えます。

9. 社会保険料が高いと感じたら?

社会保険料は、労働者にとって大きな負担になることがあります。以下の方法で負担を軽減する可能性があります。

a. 副業の活用

副業で収入を得ることで、社会保険料控除後の手取り額を増やすことができます。ただし、副業収入が増えると所得税や住民税も増える点に注意。

b. ふるさと納税

ふるさと納税を活用することで、社会保険料負担はそのままでも、税控除を受けることで実質的な負担軽減が期待できます。

c. 節約の徹底

家計を見直し、無駄な出費を減らすことで、社会保険料の負担感を軽減する工夫も重要です。


10. 未来の社会保険料負担への備え

少子高齢化が進む日本では、社会保険料の負担が将来的に増加する可能性があります。そのため、今から資産形成や節税対策を考えることが重要です。

a. 資産運用の活用

NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用して資産を運用することで、老後の備えを強化できます。

b. 自己負担増加に備える

将来的に保険料率が上がった場合に備え、一定の資金を貯蓄しておくことが安心につながります。


11. 社会保険料計算の具体的な例(さらに詳細)

年収600万円の場合(東京都)

  1. 健康保険料標準報酬月額:500,000円(おおよそ) 健康保険料:500,000 × 9.8% ÷ 2 = 24,500円
  2. 厚生年金保険料標準報酬月額:500,000円 厚生年金保険料:500,000 × 18.3% ÷ 2 = 45,750円
  3. 雇用保険料賃金総額:500,000円 雇用保険料:500,000 × 0.6% = 3,000円
  4. 介護保険料(40歳以上の場合):標準報酬月額:500,000円 介護保険料:500,000 × 1.8% ÷ 2 = 4,500円

→ 合計:24,500 + 45,750 + 3,000 + 4,500 = 77,750円


まとめ:社会保険料を理解して賢く対応しよう

社会保険料は、給与や賞与から自動的に控除されるため、仕組みを知らないまま支払っている人も多いでしょう。しかし、計算方法や負担割合を理解することで、より適切な資産管理や節税対策を行うことが可能です。

本記事の要点

  1. 社会保険料は「標準報酬月額」を基準に計算される。
  2. 健康保険料や厚生年金保険料は、会社と労働者が折半で支払う。
  3. 賞与にも社会保険料がかかるため、給与と同様に計算される。
  4. 節税や副業、資産運用を活用して社会保険料の負担に備えよう。

これらの知識を活用し、社会保険料を正しく理解して、賢いライフプランを立てていきましょう!

のり(ファイナンシャルプランナー)

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のりファイナンシャルプランナー
大学院を卒業後、金融機関に数十年かかわってきた現役証券マンであり、ファイナンシャルプランナーです。数十年培ってきた知識を誰かの役に立てたいと思いサイトを開設しました。株式投資、不動産投資を実践し、生で学んだ知識を公開しています。